お勧めの本

'00/05/11
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年下の人
やはりフランスの恋物語は素敵です。
フランソワ=オリビエ・ルソー;吉田良子訳
角川文庫

      彼女は一通目の手紙を開いた。たまたま飛びこんできた文章に、涙がにじんだ。
   「泣くべきなのは、私でなくあなたです!私は今、人生の中で最も美しく、偽りなく、
    情熱的で感じやすい時にいます。そんな私から、あなたは去っていこうとしている
    のですから。」
       そしてもう一通の手紙にはこうあった。
   「あなたしか愛せません。あなたを激しく、不当なほど愛しています。こんなに人を
    愛したことは、これまで決してありませんでした。」
                         ジョルジュ・サンドとミュッセの恋物語です。
'00/03/04:
蓼喰う虫
久しぶりに日本語の美しさに堪能しました。
谷崎潤一郎
新潮文庫

     「このご馳走は家から拵えて来るんですか」
      要は彼女が小皿の上へ取ってくれる卵焼きの海苔巻をつまみながら云った。
    「そうどす」
   「こんな重箱を提げて来るんじゃ大変だな、又帰りにこいつを持っていくんですか」
     「そうどす、芝居のものは味のうてよう食べんお云いやすよって、・・・・・」
     
   ・・・                                               多分今年の桃の節句にはもう
      この家にいないであろうとぼんやり思っていたからなのだが、それがこうして寝室の中に籠
      っていてさえそぞろの春が感ぜられる暖かい陽気になってしまった。美佐子は仰向きに枕へ
      つむりを載せたまま、暫く欄間に映っている明るい日かげへ眼をやっていた。久しぶりに十
      分な眠りを貪ったので睡気は残っていないのだけれど、手足を伸び伸びとさせているのがい
      つ迄でも好い心持ちで、ちょっとは蓐のぬくもりを捨てることが出来ない。彼女の隣には弘
      の蓐が、もう一つ隣りの床の間寄りには夫の蓐が敷いてありながら、その二つともとうに空
      っぽになっていて、瑠璃色の古伊万里の壷に椿の花が活けてあるのが、夫の枕の向うに見え
      る。・・・・   
'00/01/14:
最近読んだ本
清貧の思想 中野孝次 文春文庫 風雅に心を遊ばせ、内面の価値を尊ぶ。
チャタレイ夫人の告白 エレーヌ・ファインスタイン:伊藤礼訳 新潮文庫 チャタレイ夫人の恋人;続編
いちげんさん デビット・ゾペテイ 集英社文庫 スバル文学賞受賞作
口だって穴のうち 内田春菊 角川文庫 「春菊節」が冴えわたる
99'10/27:
お勧めの本
京料理の福袋
料亭「菊乃井」主人が語る料理人の胸の内
村田吉弘
小学館文庫

              あたりまえを考えるの章
地 あたりまえのことをするのが料理 料理はあたりまえのことをしてたらええんや。   先輩方や父から教えられてきました。   料理についてはいろんな示唆やら訓えやらがありますが、この言葉ほど料理 を的確に言い得たものはないような気がします。時季の素材を相性よく選び、 水で洗うてだしで煮炊きする。作りたいもんに合わせて、塩や醤油で味をつけ て器に盛る。いうたらこれだけのことです。もちろん、この言葉の単純な羅列 の間々に、食べ手を考慮した献立とか昔から伝えられてきた技法とか、盛りつ け方とか、こういった要素が入り込んでくることは言うまでもありません。前 者を木の幹とすれば、後者は枝葉となるでしょうか。   あたりまえを考えるやなんて偉そうな言い方をしてしもたんは、どうも今の 時代の日本料理が枝葉にばっかりとらわれている傾向が強いような気がしてな らんのです。料理は旨うて体にええということを目的に作るもんやろと思うの に、なんや形にとらわれ過ぎているような気がしてならんのです。守るべきこ とと自分で考えたらええことが、ごっちゃになっているような気がします。私 はまだまだ若いので意欲ばっかり先走るということもあると思います。生意気 なこともあると思います。そのことを大目に、若いからこそ言えることと許し てもらいたいと、まず、お願いしておきます。 書き出しの一節です。
99'10/08:
最近読んだ本
官能記 芦原すなお 角川文庫 自由奔放に生きた波乱万丈の女の一代記
謎の女を探して Sandra Brown:秋月しのぶ訳 集英社文庫 ラブ・サスペンス
夏の口紅樋口有介 角川文庫 甘くてほろ苦い一夏の物語
99'02/15:
お勧めの本
神さまはハーレーに乗って
ある魂の寓話
ジョーン・ブレイデイ:深町眞理子=訳
角川文庫:11026
最後の贈り物
1.壁を築くな。それは危険なものだからである。それをのりこえることを学べ。
2.いまを生きよ。一刻一秒が貴重であり、それを空費してはならないからである。
3.なににもまして、自分をたいせつにせよ。
4.虚栄心を捨てよ。ありのままであれ。結果はあとからついてくる。
5.どんなことも、やがてはきっとかなう。
6.「宇宙的な流れ」を保て。だれかが与えようとするとき、それを受けることは寛容
の行為である。与えることにこそ、得るべきなにものかがあるゆえである。