12月分; 秋祭りげんのしょうこもかつぎだし
虫喰葉天のめぐみのごと洗う
小春日やつりがねにんじん姫の道
10月分; たずねなむ萩踏み分けて君が庭
杉木立走り抜ければ里の秋
遠太鼓子等のたたくや秋祭り
9月分; 小菊盛る虫もいっしょの鉢の内
つきなきにいもを供えて何思う
秋の海大王崎にひとり立つ
8月分; ツユクサの群がり咲きて秋を知る
冬瓜のごろりと成りて処暑の月
木漏れ日の谷沿い下るほの暗し
7月分; 夕闇に遠くで花火ネムしろし
ネジバナはねじれてなほに美しき
梅雨の朝ドクダミの花あざやかに
6月分; 夕闇にささゆり二つ裏の藪
瓜うまし梅雨の晴れ間の一休み
雨蛙ガラスの下の蜘蛛狙う
5月分; うぐいすのここにきて鳴く花の庵
一服に桃の花燃え春嵐
大和路はスミレタンポポ乱れ咲く
4月分; マムシ起き海上の森にうずくまる
天空に舞うひとひらの花しずか
春の風ご隠居さんの野良仕事
3月分; 桃の花生けて雛なし厄の年
桃の花うつらうつらと花盛り
菜の花を愛でて味わう雛の日に
2月分; あおじ鳴き冬の山里晴れわたる
落葉は全て新芽の里の山
桜草一足先に春を告げ
1月分; 寒風に菊一輪の年の暮
春近し朽ち葉の下の紫蘭の芽
冬のたび当尾の里の花なすび
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